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2014年11月1日土曜日

schneider-kreuznach xenar 50mm f2.8 と、auto white balance の問題。




 忙中閑ありで、イベントの最中にボーとしていたら、ふと、昔のことが思い起こされました。

 饕餮は、昔々、大抵は写場で撮影をしていましたが、その頃、エクタクロームのタングステン(tungsten=白熱電球)のフィルムが主で、会場で撮影するときも、光が白熱灯がメインでしかたら、そのままのフィルムで出かけていました。一転、外光で撮影するとき、あるいは青く塗ったレフランプでスタジオ撮影するときは、day light のフィルムを詰めて出かけていたのです。

 それで、恐らく10年くらい前に、nikon のD70を購入したとき、敬愛する故Tさんと同じタイミングで買ったのですが、二人で、子供でも撮れる高級カメラだなあ、なんて笑っていたのが思い出されます。

 しかし。そのころから、写真はカメラ任せになったようです。A.W.B.に頼り、オート・フォーカスに任せ、考えることがなくなった。でも、それでよかったでしょうか? 現代のデジカメにも、色々と工夫できる部分があるのでは?

 そう思いついて、ふと前を見ると、前日ビデオ撮影に使った、頑丈なジッツォがある。それで横を見ると、半ば干上がった池、という格好の被写体もある。この時間は、僕にはあまりやるべきことがない……。

 ということで、窓ガラス越しに、カラー・バランスの設定を変えて外を撮影してみました。上から、A.W.B.、day light、日蔭、曇り、tungstenの順です。




友よ、これがschneider blue だ(嘘)

 うーん……。目で見た感じに一番近いのは、day light でしょうか。また、青に転ぶ感じがあるのは、A.W.B.でしょうか。

 事前の予想では、昔のように、day light に設定したほうが、素直にレンズの特徴が出るのでは、と思っていたのですが、A.W.B.が、「言われている」schneider の「特徴」に近いのでは?

 しかし、ちょっと待ちたい。「レンズの言われている特徴」とは、なんだろう? schneider の場合、ときには schneider blue ともいわれる、青みがかった色合い、という論が流布しているが、本当にそうなのだろうか? 他の方々が言っているレンズの特徴を再現するために、そのレンズを購うのは、実は少々、安易な行為なのではないのか(自戒を込めつつ)?

 もちろん、慎重な方は、銀塩カメラで、フィルムの種類も変えて撮影し、それを分析することで、(銀塩時代の)レンズの特徴を言い表しているのだが。そして、デジタルでも、その傾向が読み取れたら、それがレンズの特徴と言ってもよいのであろう。

 A.W.B.は、僕にとって、一つのブラック・ボックスである。メーカー別に、色合いが異なる。先日も、某放送局の人から、「これはソニーの絵だね」と一言で言い当てられてしまった。だから、上の写真だけでは何とも言えない。

 では、今度は角度を変えて。順番は、上のシリーズと一緒です。






 う……。結果は同じか。

 純粋に文系の人間の勝手な推測ですが、デジタル・カメラのA.W.B.の場合、レンズを通った光をカメラが判断し、上の作例のように、「これはday light」、「これは tungsten」、というように大まかな区分けをせず、もっと微妙な段階で補正しているのではないか、と思う。しかも、この作例は、マルチ測光で撮影したものであり、もしかしたら部分部分で、カラー・バランスを変えているのでは? しかし、だとしたら、レンズの「雑味」は補正され、特徴が消されて然るべきなのでは?

 でも、銀塩写真でも、A.W.B.使用時と同様、あるいは(大抵は)もっと強烈にレンズの個性が出てくる、というのはなぜだろう(独白)。それは、銀塩の場合、レンズの硝材、コーティングがストレートに反映されるのであろうが、ではなぜ、A.W.B.は、銀塩の場合と似た色合いが再現されるのか。

 わからない。もしかしたら、A.W.B.には、非常に高度なアルゴリズム等が組み込まれているとか?

 そんな状態ですが、饕餮は実は頑固なので、その翌日、晴天の状態で、day light、加えてスポット測光で、近所を歩いてみました。人の言うレンズの特徴を探すよりも、実際に目で見た光景に一番近い状態を追及することにも意味がある、と思ったからです。












 ふむ。これはこれでよいのでは?

 驚いたのは、テッサ―タイプの描写力です。テッサ―系のレンズは、何本か持っていますが、使ったのは初めてです。切れが良い、かっちりした描写に、大変驚きました。

 A.W.B.の問題はともかく、いつかまた連れて歩きたいレンズです。